今週のお題は『母の日』とのこと。
今年の母の日は、日頃の感謝を込めて両親を連れて寿司を食べに行った。
クルクルと寿司の乗ったお皿が行き交うお店だったけど。
でも、近所では美味いと評判の、両親も納得のお店。
「やっぱ、ここの寿司は美味いなぁ。最近食べた寿司では一番だよ」
しみじみ呟くオレに、かみさんが目を丸くする。
「寿司ならゴールデンウィークに行ったじゃん。もっと美味い店に」
そうなのだ。でも、とある事情のため、オレは全く食べた心地がしなかった。その事情とは――
かみさんの親戚と行った旅行先で、オレは人気寿司店の順番待ちをすることになった。
しかし予定時間よりも早く席に案内されたオレは、ボックス席にぽつんと一人晒される羽目に。
――混み合う店内からの冷たい視線。タラリタラリと滴る冷や汗。
生きた心地がしない。皆が揃ってからも、オレは何を食べているのか全く分からなかった。
「なんだ、もったいない。せっかく遠出したのに」とかみさん。
でもそれはしょうがない。元々チキンということもあるが、状況がすべてオレに背を向けた。
親しい家族なら「遅いよ！」と怒りをぶつければ、店内の客に『オレは悪くない』アピールができた。
溜め込んだ感情は、「美味しい」という新たな感情を阻害することをオレは学んだ。
母の日の深夜、『新時代』企画の結果が発表された。
参加二十作品中、オレの作品はなんと二位！
これは嬉しい！ ついに、ようやく、やっとのことでメダル（それも銀色）を獲得した！
アイディア勝負で、小ネタを積み重ねた作品。なんともオレらしい気負いの無さが良かったのかも？
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